【雑記】ドラマ「対岸の家事」を見て

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ドラマ好きの私

私はドラマが好きで、地上波の新クールが始まると初回は必ずチェックします。2話目以降は厳選しますが、今クールで特に気に入って見ているのが『対岸の家事~これが、私の生きる道!~』です。

なかでも、江口のりこさんが演じる「長野礼子」というキャリア女性に深く共感しています。というより、「私が現代に生きていて仕事を辞めなかったら、私は彼女のような人生を歩んだかもしれない」と感じながら見ています。

出産退職が「当たり前」だった時代

32年前、私は出産を機に退職しました。当時は、結婚退職こそ減ってきていたものの、出産退職はごく普通のことでした。会社もその前提で女性社員を見ていました。

私は大学卒業後、首都圏のソフトウェア会社でプログラマーとして働きましたが、結婚を機に地方都市へ移り、別のソフト会社へ転職。しかし、そこで待っていたのは「社員のコーヒーの好み表」と電話番中心の仕事。「いつ辞めるかわからない」という理由で、プログラムはデバッグ止まりでした。

それでもキャリア志向は強く、しばらくは子どもを持たずに仕事を続けるつもりでした。上司に直談判し、技術職として認めてもらえた時は本当に嬉しかったです。

外野の声と、ようやく授かった命

なかなか子供ができず、それでも仕事に集中していると、今度は「子どもはまだ?」「結婚したのに作らないの?」という心ない言葉に悩まされました。それでも結婚5年目で、ようやく妊娠がわかります。

当時、私は主任職でグループのジョブリーダー。同い年の男性社員と同時昇格でしたが、ジョブリーダーはなかなか任されませんでした。やっと掴んだポジションでしたが、妊娠をきっかけに続ける道を断念せざるを得ませんでした。

専業主婦としての決断と葛藤

育休は3カ月、時短勤務もなし。続けるなら降格は避けられない。それなら、ストレスの中で働くよりも、子どもとの時間を大切にしたい――そう考えて、出産1カ月前に退職しました。

夫はSEで深夜帰宅が当たり前。育児は完全なワンオペでしたが、それでも当時の価値観では珍しいことではなく、腹も立ちませんでした。息子はよく寝て、育てやすい子だったのが救いでした。

「このまま専業主婦では終わりたくない」

しかし、息子の寝顔を見ながら「一生このままは嫌だ」と強く思ったのです。子どもをおぶいながら半年間勉強し、第1種情報処理技術者試験(現・応用情報技術者試験)に合格。資格を生かして、息子の入園後は正社員は諦めたものの、非常勤講師として情報系の授業を担当することになりました。

仕事は充実していましたが、時折「あのままSEを続けていたら…」と悔しく思うこともありました。今のように環境が整っていれば、私はもっとキャリアを積めたのかもしれない、と。

ドラマの中の彼女と、私の選んだ道

ドラマの中で、長野礼子は出産後、営業から総務へ異動。夫は非協力的で、彼女はワンオペ育児とフルタイム勤務に追われ、心が壊れそうになります。マンションの屋上で足をかけるシーンには胸が詰まりました。

そのとき、ふと気づいたのです。「私は仕事を辞められたから、救われたのかもしれない」と。

専業主婦が当たり前で、仲間もいて孤独ではなかった時代。夫一人の収入でも生活できる環境。今のように「専業主婦は贅沢」「一人で稼ぐかわいそうな旦那」と言われることもなかった。確かにキャリアは手放しましたが、育児に集中できた環境は幸せだったのかもしれません。

時代とともに変わる「選択肢」

このドラマを通して、自分の過去と改めて向き合いました。社会は変わり、今は子育てしながら働く女性が増えました。でも、それは「選べる自由」があるべきで、「働かざるを得ない現実」ではないはずです。

ドラマもそろそろ終盤です。転勤が決まった夫についていくため、長野礼子は退職を決意します。どんなに頑張っても、女は社会の犠牲になるしかないのでしょうか?

今後どのように展開していくのかわかりませんが、私の時代には選べなかったことが、今の若い人たちには選べるようになっていてほしい。そんな願いを込めて、このドラマを見ています。

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